モザンビーク 日本 協力関係

現地情報

モザンビークと日本の関係(経済、文化、教育、人道的援助)

日本とモザンビーク、遠く離れた二国ですが、実は密接な関係にあります。

この記事では、二国間の経済的連携、文化的交流、教育への共同取り組み、そして技術分野での協力状況について紹介します。

両国間の歴史的背景

モザンビーク モザンビーク島

モザンビークは12世紀にアラブの商人たちによって栄えた地域で、15世紀末にポルトガルの航海者ヴァスコ・ダ・ガマが到達した後、ポルトガルの影響下に入りました。

その後300年以上ポルトガルの植民地であったモザンビークは、1962年に独立運動を開始し、1975年に独立を果たします。

日本は1977年にモザンビークと外交関係を開設し、以降友好関係を築いてきました。

2017年には外交関係樹立40周年を迎え、経済、文化、教育など多方面での関係が拡大、深化しています。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/page4_002867.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/page4_002867.html

www.mofa.go.jp

経済関係と投資

モザンビーク 資源開発

日本とモザンビークの経済関係は、特に資源開発において顕著です。

モザンビークはアフリカで2番目に大きな石炭産出国であり、天然ガスも豊富です。

在モザンビーク日本大使館の「モザンビーク進出日系企業リスト(2020年)」によると、以下の業種の日系企業がモザンビークに進出しています。

モザンビークへ進出している日系企業の業種一例

総合商社、中古車販売、水産物加工、農産物加工、製造業、建設業

モザンビークの経済は、アルミ精錬事業やインフラ整備などの大型プロジェクトにより安定的な成長を遂げており、日本からの直接投資も増加しています。

主要な貿易品目と投資領域

モザンビークから日本への主要輸出品目には、石炭や天然ガスが含まれます。これらはモザンビークの経済発展の中心となっており、日本の注目度も高い状態です。

また、日本からモザンビークへは、自動車や電子機器などが主な輸出品です。BE FORWARDやトラストといった中古車販売会社の存在を知っている現地の人々も多く、街中で各企業のステッカーが貼ってある車を見かけることも珍しくありません。

両国の経済関係はこれらの貿易品目を中心に広がっています。投資領域としては、インフラ建設や教育プロジェクトにも日本は関心を寄せています。

ナカラ港の完成式典:アフリカ南東部の連結性と経済発展への新たな一歩
ナカラ港の完成式典:アフリカ南東部の連結性と経済発展への新たな一歩

sobre-mozambique.com

文化と教育の交流

モザンビーク 教育 文化

日本とモザンビーク間の文化交流は、モザンビークの陽気でエネルギッシュな音楽文化やダンスに日本が関心を持っています。

特にモザンビーク南部のショピ族の伝統楽器「ティンビラ」は、ユネスコ無形文化遺産に登録されており、日本でも注目されています。直近では2023年11月24日、明治学院でモザンビーク人によるティンビラコンサートが開催されました。

明治学院コンサートシリーズ 第121回《アフリカの木琴と》 |     明治学院大学 “Do for Others”
明治学院コンサートシリーズ 第121回《アフリカの木琴と》 | 明治学院大学 “Do for Others”

www.meijigakuin.ac.jp

また、「NGOモザンビークのいのちをつなぐ会」のナジャ氏が精力的に日本で音楽活動を展開している点にも注目です。

北部に住む民族「マコンデ族」の伝統音楽に触れたい場合は、彼の日本講演やYoutube動画をチェックしてみましょう。

教育分野での協力プロジェクト

日本はモザンビークの教育分野にも積極的に貢献しています。

具体的な例として、日本国際協力機構(JICA)は、モザンビークの教員の技術向上を目的とした研修プログラムを提供しています。これにより、教員の指導技術が向上し、教育の質が高まることが期待されています。

さらに、日本はモザンビークの学校建設や教育資材の提供を通じて、教育インフラの強化にも貢献しています。

ナンプラ州モナポ初等教員養成校建設計画 | ODA見える化サイト
ナンプラ州モナポ初等教員養成校建設計画 | ODA見える化サイト

www.jica.go.jp

開発支援と人道的援助

モザンビーク 人道的援助

日本は、モザンビークの開発支援と人道的援助に積極的に取り組んでいます。

1993年から1995年にかけて、国連モザンビーク活動(ONUMOZ)の一環として、日本は自衛官をアフリカで初めてPKO(国連平和維持活動)に派遣しました。

また、モザンビークの地域住民に直接影響を与える支援として、日本はマプト魚市場の建設などを実施しています。

マプト魚市場建設計画 | ODA見える化サイト
マプト魚市場建設計画 | ODA見える化サイト

www.jica.go.jp

緊急時の人道的援助事例

モザンビークは、サイクロンや洪水などの自然災害に脆弱です。

日本はこれらの緊急事態に対応し、食料、医薬品、テントなどの人道的援助を提供しています。

例えば2019年に発生したサイクロン「イダイ」の際、日本は救援物資や専門家を派遣し、被災地の復旧支援を行いました。これらの支援は、モザンビークの人々の生活改善に大きく貢献しています。

技術革新に関する協力

モザンビーク 農業

日本とモザンビークは、技術革新と持続可能な開発の分野で協力を進めています。

特に農業技術の改善や再生可能エネルギーの開発に注目が集まっています。

技術移転と共同研究の事例

JICAはモザンビークの農業技術向上を目指して、長年農業開発プロジェクトを実施してきた実績があります。

例えば北部Zambezia州の「ザンベジア州コメ生産向上プロジェクト」では、2016年11月から6年もの期間、対象地域における稲作技術の向上に貢献してきました。

また、共同研究の事例としては「ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト」があります。これは北部3州を対象としたプロジェクトで、モザンビーク・日本・ブラジルの3カ国の農業専門家が協力して進められました。

持続可能な開発への取り組み

日本は、モザンビークが持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、環境保護や社会的包摂に関するプロジェクトを支援しています。一例としては以下の取り組みが挙げられます。

日本政府による支援(一例)

1)WFP(世界食糧計画)への資金提供:食糧援助を目的として、2019年に690万米ドル、2022年8月に3億円、2023年に150万米ドルの資金拠出

2)UNESCO(国連教育科学文化機関)への支援:2018年からの総拠出額は1,074万米ドルに達する

3)UNICEF(国連児童基金)への資金提供:資金協力を受け、UNICEFは親を伴わない子どもたちや親と離ればなれになった子どもたちが、親や家族、法的な養育者と再会できるよう支援

4)UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)への資金提供:Cabo Delgado州でUNHCRが実施している人道支援に対し、総額90万米ドルの拠出

参照:在モザンビーク日本大使館WFP外務省UNHCR

日系企業によるモザンビークでのプロジェクト

モザンビーク 日系企業

日系企業はモザンビークで多岐にわたるプロジェクトを展開しており、特に資源開発やインフラ整備に大きく貢献しています。

日系企業のモザンビークにおける主要な活動

三井物産は、2019年にモザンビークLNGプロジェクトの最終投資決定を行いました。

このプロジェクトは、近年世界で発見された中でも最大級の天然ガス埋蔵量の開発を目的としています。埋蔵量は65兆立方フィートにも至ります。

生産開始は2024年を予定。年間生産量は日本の年間需要の約6分の1に相当するそうです​​。

また、日本政府と日本国際協力機構(JICA)は、モザンビークでの多くの開発プロジェクトに資金提供しています。

過去20年間で約1.6億ドルを投資し、その大部分はインフラ整備プロジェクトに充てられてきました。

例えば、ナカラ港の建設やマプト発電所の維持管理などの大規模プロジェクトには、総額62億円(約4億4,110万ドル)の投資が行われています​​​​​​​​​​​​。

"Japan Has Invested $1.6B in Mozambique in the Last 20 Years" • 360 Mozambique
"Japan Has Invested $1.6B in Mozambique in the Last 20 Years" • 360 Mozambique

360mozambique.com

成功事例と今後の展望

日系企業によるプロジェクトは、モザンビークの経済成長と国民生活の向上に対して大きな影響を与えています。

特に、ナカラ港やマプト発電所のようなインフラプロジェクトは、国の開発をけん引し、地域社会にポジティブな変化をもたらすことでしょう。

日系企業や政府は、こうしたプロジェクトを通じてモザンビークの持続可能な発展に貢献し続けています。

まとめ

モザンビーク まとめ

日本とモザンビークの関係は、経済、文化、教育、技術など多岐にわたる分野で強化されています。

2023年4月から5月にかけて、日本の岸田文雄首相はモザンビークを含む複数国を訪問し、フィリペ・ニュシモザンビーク大統領との首脳会談を行いました。

会談での議論の中で岸田首相は、モザンビークがアフリカで最大級の天然ガス埋蔵量を持つ重要な国であることを強調し、日本企業によるモザンビークへの民間セクター投資を奨励する意向を表明しました。

また、モザンビークでのLNG開発プロジェクトの建設再開を強力に推進することで両国首脳は合意。このプロジェクトは三井物産が投資し、日本の金属エネルギー保安機構(JOGMEC)、日本国際協力銀行(JBIC)、および日本貿易保険(NEXI)の支援を受けています​​。

さらに岸田首相は、日本企業による技術の使用を通じ、モザンビークの農業および食品部門の生産性向上を促進するイニシアティブを推進する意向を示しました。

これには、モザンビークの経済成長の基盤となるインフラ開発、モザンビークの将来を支える人材開発、およびデジタル技術を使用した農産物の取引が含まれます。ニュシ大統領はこれまでの日本の支援に感謝を表明し、インフラや健康分野などの分野での協力に期待を寄せている様子です。

こうした動向は、日本とモザンビークの関係が経済的にも、技術的にも、社会的にも、さらに強化されていくことを示しています。

参考資料とリンク

本記事の執筆にあたり、以下の公的機関や権威ある機関のサイトを参考にしました。

  1. 外務省: モザンビークという国 - 日・モザンビーク外交関係樹立40周年
  2. Mitsui & Co., Ltd.: The Mozambique LNG Project: An energy resource for the world of tomorrow
  3. 360 Mozambique: Japan Has Invested $1.6B in Mozambique in the Last 20 Years
  4. Prime Minister's Office of Japan: Japan-Mozambique Summit Meeting and Working Lunch (Summary)
  5. 日本国際協力機構(JICA) - モザンビーク
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サイト管理人:やんび〜

アフリカのモザンビークでモリンガ事業を営んでいる日本人です| 青年海外協力隊→開発コンサルタント→起業 (※すべてモザンビークでの経験)|ポルトガル語の通訳・翻訳、モザンビーク関連のコンサルティングサービスも提供しています。まずは気軽にお問い合わせください♪| サービス一覧

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